表現と構造の両方を大切にする
良い録音ができたことはある。
良いパフォーマンスになった日もある。
けれど、それを次も同じように出せるとは限らない。
むしろ、なぜあの日は良かったのか、自分でもうまく説明できない。
そんな感覚を持ったことはないでしょうか。
言葉を知っていることと、使えることは違う。
プロや経験者の方ほど、音楽の言葉をたくさん知っています。
グルーブ、響き、支え、抜き、前に出す、乗せる。
でも、言葉を知っていることと、それを使えることは同じではありません。
その言葉で何を起こしたいのか。
どんな効果を指しているのか。
自分の中でどう定義するのか。
そして、どう練習に落とし込むのか。
そこまで整理されていないと、言葉は知識のままで止まりやすく、表現もその日の感覚に左右されやすくなります。
言葉→効果→定義→落とし込み
私は、音楽の中で使う言葉を、できるだけ「言葉→効果→定義→落とし込み」の順で考えるようにしています。
言葉だけを知っていても、再現性にはつながりません。
何を起こしたいのかを考え、定義し、練習できる形まで落とし込んではじめて、その言葉は実際に使えるものになります。
グルーブも、定義して扱う
たとえば、グルーブという言葉があります。
よく「ノリ」と言われますが、それだけでは、結局どうすればいいのか分からないままです。
何となくうまくいく日もある。
でも、再現しようとすると急に曖昧になる。
私自身は、グルーブを、一定の推進力が破綻し始めたところで、それを秩序をもって元の推進力に戻すこととして捉えています。
だから練習でも、ただ雰囲気で乗るのではなく、1、2、3、4のカウントの中で、推進力と破綻と、元に戻すことを繰り返していきます。
そのときに生まれた揺れを観察し、使えるようになるまで調整を繰り返します。
そして大切なのは、再現性を高めるためにそのメモリを記憶するまで筋肉に気持ちよさとして覚えさせることです。
私はそういうふうに、言葉を実際に扱えるものへ変えていきます。
1音、母音、子音、ブレス、スケールやモード
これはグルーブだけの話ではありません。
1音をどう定義するか。
母音や子音をどう扱うか。
口腔をどう設定するか。
ブレスをどう定義し、どう使うか。
その音がスケールやモードの中で何を担っているのか。
こうしたことも、言葉だけで終わらせず、効果と定義と実際の扱い方まで整理していきたいと思っています。
表現を、自分のものとして扱えるようにするために
表現は、感覚だけでも生まれます。
けれど、再現性は感覚だけでは育ちにくい。
良い表現が一度できたとしても、それを自分の力として残していくには、定義と構造が必要になることがあります。
もし、言葉は知っているのに使いこなせない感覚があるなら。
もし、良かった日の理由を自分の中に残しきれていないなら。
もし、自分の表現をもっと安定して扱えるようになりたいと思っているなら。
そのとき役に立つのは、曖昧な感覚論を増やすことではなく、言葉を整理し、定義し、落とし込んでいくことだと私は思っています。
表現を狭くするためではなく、表現を自分のものとして扱えるようにするために。
F-COMMUNITYでは、表現と構造の両方を大切にしています。